府中の森市民聖苑 by渓流ファン様


管理人のコメント
府中市というと「日華多磨斎場」が何かと有名なのですが、広大な墓地の
一角にドカンと鎮座していた非常に高い煙突が印象的でした。
そして時代は移り、今では芸術文化施設と見まちがう様な立派な斎場が
同じ府中市内に存在します。
日華のそれは煙突が無くなってしまったみたいですが、新旧火葬施設の
対比が同じ市内で出来る珍しい例ではないでしょうか。

以下、渓流ファン様のレポート

返還された旧米軍キャンプ跡地の一画に計画された「府中の森 市民聖苑」は、
著書「火葬場」にも紹介された反対運動などの紆余曲折を経て、府中市民専用の
総合斎場として完成しました。
広大な公園の一画に設けられた現代的な施設です。

施設周囲はスポーツ施設併設の公園で、付近には市民ホール、美術館などもあります。
休日には家族連れで賑わう市内でも緑の豊かな一帯です。


聖苑入口です。
親切(?)にも注意書きが貼られていました。
間違える人が多いのでしょう。


入口その2です。
斎場棟の一部が見えます。
設計は梓設計で、目下建築中の臨海部広域斎場と同じ会社です。
デザイン的にも銅屋根など、臨海部と共通する要素が見られます。
門の内側に案内版が掲げられていました。


1階の平面図です。上がほぼ真北です。
ロータリーを挟んで北側に火葬棟と式場棟。
火葬炉は4基で、将来は6基まで増設可能です。
1階は中規模以下の葬儀に対応可能な斎場・附属の部屋・設備が2組設けられています。
クロークまであり、設備は充実しています。

南側には待合棟と法要棟、西側は通路です。
都内では火葬後ただちに精進落とし・初七日法要を行う例が増えていまして、ここの斎場は
それに対応しています。
一般には法要には待合室を利用するそうで、山梨県の東山聖苑でもそれに対応可能な工夫
(遺骨を祀る祭壇など)が待合室にされていましたが、ここでは法要専用の部屋まであります。


2階平面図です。

北は火葬棟が機械室や吹き抜け、式場棟は大斎場となっています。
なお、3つあるどの斎場も専用の入口を持っています。
様々な理由から、このような配慮はありがたいと思います。
(プライバシー、参列者が迷わない、そして防犯。)

待合室は、西に共用ロビーがあり、そして個室が全部で5室あります。
将来炉を増設した場合も、1基は予備炉と見なせば1炉につき1室が確保されています。
東京の葬儀慣習からすると、待合室の数と広さには余裕が必要と思っています。
出来れば「全炉数=全待合室数、ほかに若干の予備室」が理想です。
(参列者数が増えている。葬儀慣習と道路事情からピーク時間帯に集中し易い。)
空いている法要室があれば、そこも使うのでしょうか?
東博では、式場のお清め室も待合室として利用されています。


式場棟1階のアップです。
エレベーターの1基は棺搬送用らしく大型です。
会葬者控室は「お清め室」として使われるのでしょう。
隣接して湯沸かし室(おそらくはパントリー兼用)があります。

お清め関連の空間にもう少し余裕が欲しい気もしますが、
それを除けば設備はとても整っています。


入口から見た火葬棟です。
(車が止まっている部分がエントランス)


北側にある専用駐輪場から見た地下駐車場への進入路と式場棟の壁面です。
写真左側に地下駐車場入口があります。


式場棟の裏側(北側)には、町屋同様、業者の車が並んでいます。
総合斎場のバックヤードは、昔の火葬場の裏手とはまるで違う光景になっています。

奥には火葬棟(2階部分に大型のアクセスドア)が見えます。


ついでに施設の周辺も紹介しておきます。
周囲は府中の森市民公園として整備されています。
サイン計画も統一され、火葬場も市民ホールや芸術劇場も、
同じデザインのしゃれた案内板や看板で紹介されています。

道路の向かいはいまも防衛庁管理下にある元基地跡地です。


公園の案内板です。
中央に白く食い込んでいるのが、聖苑の敷地です。
なお、公園内から聖苑を見ると、敷地周囲は池や植樹などが巡らされていて
目隠しされています。待合室や法要室から見ると、これらは庭園(借景)としての
機能を果たしています。


聖苑の北(火葬棟裏手)に隣接して公園・スポーツ施設利用者向けの
駐車場が設けられています。付近には公園の管理棟や売店、休憩場なども
あります。斎場を気にする人もなく、ごく普通の休日のにぎやかな公園風景でした。

この聖苑から北東にほぼ2キロ、間に多磨霊園を挟んで、府中市内のもうひとつの火葬場
「日華斎場」もあります。霊園附属施設の1つとして計画された、古い歴史を誇る民間斎場
ですが、増える一方の需要に応じ切れずに作られたのがここ、府中の森市民聖苑でした。
日華斎場がリニューアルして煙突を撤去したのは、このライバル施設が登場して
ほどなくだったと思います。


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