能生町火葬場 by渓流ファン様

*10/8 画像3点及びコメント追加


管理人のコメント
 これは管理人が目指す究極の取材です、完全に先を越されてしまいましたね(汗)。
今までゲリラ取材に終始していた管理人にとって、本当に見習うべき点が多く参考に
なります。一口に「申し入れをした上での取材」といっても、そこに至るまでの葛藤と、
それを実行する勇気は並大抵の事ではなかったであろうと、お察し申し上げます。
稼動中の炉内画像などは非常に貴重なものです。

渾身の取材&画像の数々本当にありがとうございました。

 監視窓から見た炉内は何やら電気炉の中みたいに穏やかな印象ですが、バーナー
はフルパワーだったのでしょうか? 気になります。

以下、渓流ファン様のレポート

*画像をクリックすると拡大画像が別ウィンドウで開きます。

 
能生町は糸魚川市に隣接し、付近では海水浴場として有名です。
海のない長野県からはるばる訪れる人も多く、当方もここで泳いだことがあります。

能生川に沿った田園地帯に、火葬炉2基をもつ町営火葬場があります。


 
町営火葬場の全景です。
能生川の堤防脇にあり、背景には北陸自動車道が見えます。

台風一過の青空の元、田圃では稲刈りが行われていました。


 
山並みを背景にした全景です。
田園風景がすばらしいロケーションにありました。


 
火葬場ポーチです。
庭のお手入れをなさっていた職員さんの許可を得て
臨時の見学会と相成りました。
ご年配のとても実直そうなお方でありました。


 
火葬炉室背面です。左上が煙突。手前は灯油タンク(地下)。
職員さんのお話しですと、灯油の品質管理・給油管理も大切
なのだそうです。我々の家庭の石油ファンヒーター等でも「古い
灯油使用禁止」の説明がありますが、変質し、澱(おり)や不純物が
生じた灯油は、バーナーのノズルを詰まらせて再燃炉故障(不作動)の
原因となりやすいのだそうです。


 
煙突です。
覆いの裏側が煤けていますが、主に汚物炉で布団・遺品・
ロウソク等のお供物や火葬炉には入れられない副葬品を
燃やす為だそうです。
火葬炉から煙が出る事はほとんどないそうです。
(汚物炉からの発煙はあるていどやむを得ないとか。)


 
構内にずらりと並んだお地蔵様(迎え仏)です。
これらは皆、能生町にかってあった地区集落ごとの共同火葬場(三昧)
から、火葬場統合時にここへと移されたものだそうです。これだけの数の
簡易火葬場がかっては在った訳で、さすが火葬の盛んだった新潟だと
感心させられました。
石仏としてみても趣きがあり、1体1体が個性的でなかなかでした。

一番右はしの枠内のお地蔵様たちの下には、無縁の仏様たちが
眠っておられるそうです。


 
では、内部の見学前にポーチを。
右側は待合ロビーと和式待合室です。
一部にモザイク処理しているのは、物好きな訪問者と、
ご親切な職員さんの姿を隠す為ですのであしからず(笑)


 
火葬炉前です。
宮本工業所製の台車式火葬炉です。
化粧扉は片方向に仕舞われるエレベータータイプ。
火葬台車を引き出す為の台が上方に折り畳み格納されていて、
断熱扉はその奥にあります。
訪問日には1体の火葬があり、右奥の「ろ号」炉を用いたそうです。
収骨の終わった台車を炉前で冷却中でした。
(台車上にはモザイクをかけさせていただきました。合掌。)
2基の炉と相対する壁には仏式の祭壇が設けられていました。


 
火葬炉の制御シークエンスを説明して頂けました。
まずは、炉室に入ってすぐ右側、炉体に掲げられた
宮本工業所の銘板です。
昭和53年(1978)というと、直上再燃式火葬炉が開発されて
数年程度の装置と思われます。
(当方の手持ちの資料では、昭和48年頃に実用化)
地方自治体のこの規模の施設としては、ここ能生町の火葬場は
かなり早い段階で、当時最新鋭の装置を導入したと思われます。
旧式化した既存火葬場の統合、最先端の火葬場の建設を積極的に
すすめたと言えるでしょう。
「こんな楽な仕事はないよ。手順さえ覚えれば、雨も晴れも関係ないし。」
「この仕事について、はじめて火葬炉を見た時には(先端的な装置なので)
驚いたよ。」職員様のお言葉でした。


 
銘版の斜め下、炉前室から炉室へ入ったすぐ脇にある
汚物炉の投入口です。
一般には産汚物、摘出臓器などの焼却炉というイメージですが、
こちらでは土地の葬儀慣習なのか、なくなられた方のお布団、
ご供物の一部(ロウソクがたくさん入った段ボール箱を見せて
もらいました。)、禁止された副葬品の内、可燃性のもの(不燃性
のものは町のゴミ処理場に処理を依頼し埋め立て等で処理)など
を処理されるそうです。
火力は強く、布団など5分程で灰にしてしまえるとか。
なお、汚物炉と2基の火葬炉(直上再燃炉付き)はケーシングが
一体で、連立炉の形式になっています。
最近のように1炉ごとに独立ではありません。
また、汚物炉の直上には再燃炉は無く「い号」火葬炉の直上再燃炉に
排気ダクトが合流していました。
再燃炉を共有しているのかもしれません。


 
並んだ火葬炉とバーナー、操作パネル
右手前から汚物炉、い号炉、ろ号炉です。
操作パネルは2つあり、右手前のものは汚物炉/い号炉の共用
(切替えスイッチ付き)、奥はろ号炉用です。
青いパイプは燃焼用給気系です。

 
い号、ろ号両火葬炉の背面です。

火葬時間そのものは1体あたり約90分で終わるそうですが、
火葬の儀式全体(出棺〜到着〜告別〜火葬〜収骨〜遺族退場まで)
ですと、4時間を見込んでスケジューリングされるそうです。
その後のお手入れ等もありますから、1日あたりの処理は3体までが
限度で、4体目は他の自治体に依託されるそうです。
小さな町(人口約1万人)なので2体以上になることは少ないそうですが、
3体では最後の作業が終了するのは夜になるとか。
「楽な仕事」とはおっしゃられますが、本当に頭が下がります。


 
い号炉のデレッキ操作口を開けていただいた所です。
やはり、この作業がなかなか大変だそうです。
急いだりして火力や送風を強めると、ご遺骨がボロボロになる
とかで、丁寧なお仕事を心掛けておられるご様子でした。


 
デレッキ操作口です。奥に台車の一部が見えます。
上方のバーナー本体下部に突き出している、三方向に突起のある
銀色の棒が角度/方向調節ハンドルで、これを回して炎を調節し、
覗き穴とこのデレッキ穴を用いて炉内の御遺体が綺麗に焼けるように
作業なされる訳です。


 
炉室の外側(建物背面側)には、小さな休憩室兼制御室があり、
主制御盤が設置されていました。
最近の火葬炉のようなコンピュータ(パソコン)ではありません。
御好意により、一通りの火葬炉点火手順を見せていただけました。


 
操作は左から右へとボタンを押してゆきます。
(これ以前に主電源投入、灯油タンクの確認等あります。
さらに、場内の清掃、遺族迎え入れのための準備なども。)
まず、排気ファンのスイッチを「入」
次に、ブロワーのスイッチを「入」
最後、オイルポンプのスイッチを「入」

何かエラーや故障があれば、すぐに警報ベルが鳴るそうです。
(警報解除ボタンも下方にありました。)


 
そして作業の場は炉室、火葬炉背面のパネルへ。

まず、再燃炉に点火します。
これが再燃バーナー(い号炉の直上)です。
下にあるアームの位置にご注意ください。


 
再燃炉点火が完了すると、ご覧のようにアームが下がり、
バーナーが燃焼中である旨を示してくれます。
灯油に不純物や澱が混ざり、バーナーノズルが詰まると
アームが下がらないそうで、この故障が一番多いのだそうです。
燃料の管理に気を使っておられるのはその為です。


 
い号炉の操作パネルです。
主燃焼炉のバーナーに点火した所です。

見えづらいですが、左下の温度インジケータの上部が
炉内温度(現在)、下部が設定温度です。
炉内:88度(摂氏)
設定:800度
本日執行された火葬では、830度まで上げられたそうです。
温度管理はかなり細かいようです(経験だそうですが)。


 
観察穴から見た、主燃バーナー燃焼時の炉内です。
炎はまだ短く、わずかに上方に噴出していました。
五徳が見えます。
(光っているのは当方がストロボをオフにし忘れた為です。)


 
炉内にピントを合わせてみました。
炎は五徳の上をなめるように噴出してゆくみたいです。
(角度は変えられます)
東山聖苑で同じ宮本工業所の炉を見ましたが、あの時と同じでした。
灯油バーナーでもガス化すると青白い炎になるようですが、
ここのバーナーの炎も、色は東山と同じオレンジ色でした。
点火直後の燃焼初期の為かも知れません。



*10/8追加画像及びコメント

 

能生火葬場で、追加した方が良いと思われる画像を3点ほど。
まず、ろ号炉の操作盤です。
い号炉側の操作盤には、火葬炉・汚物炉の切替えスイッチが追加されています。

<上段:表示ランプ>
電源 再燃炉点火 再燃炉失火
空白 火葬炉点火 主燃炉失火

<中段:温度制御>
左:温度表示盤(上:炉内温度、下:設定温度)
右上:温度制御スイッチ
右下:フレーム設定スイッチ(手動/自動)

<下段:バーナー操作ボタン>
電源 再燃炉点火 火葬炉点火
   再燃炉消火 火葬炉消火
点火は赤ボタン、消火は緑ボタン。
再燃炉点火し燃焼確認後、火葬炉を点火。
い号炉側は電源の下に炉切替えスイッチ。



 
炉前ホールの様子です。
扇風機は台車の冷却用でしょう。
左の壁には炉室への出入口ドア(開けっ放しでした)、
脇には簡単な搬送台があります。



 
最後にちょっとショッキングかも知れませんが、
これは汚物炉の内部画像です。

火葬炉の内部は見えた限りはキレイで、バーナー回りもほとんど汚れていません。
デレッキ扉の内側ぐらいしかスス汚れは目立ちませんでした。
それとは対照的に、汚物炉の内部はススで真っ黒でした。
扉の内側やバーナー回りの汚れ具合も目立ちます。

燃やすものや運転条件の違い、棺をおさめる前に副葬品をこまめに除いておく
という運用ゆえの差でしょうか?




 
壁には火葬炉操作手順が畳1枚ほどのパネルにして
掲げられていました。
数値/時間等を中心に、経験や実際の操作から得たと
推測されるいくつもの修正が、職員さんの手書きで加えられていました。
(たとえば、火葬終了後、炉前に引き出した台車の冷却時間等。
熱い台車はとても危険ですからね。)
現在ではこのマニュアルではなく、A3用紙2枚に34項目に渡って
列挙された新しいマニュアルを用いられるそうで、それも見せて
いただきました。
(別に汚物炉用マニュアルがもう1枚ありました。)


 
最後に、火葬場構内から望んだ能生の田園風景です。
すばらしいロケーションにあり、かつご熱心で誠実な職員さんの手で
運営されている施設です。

構内の庭木のお手入れも職員さんがなさっておられるご様子でした。
最後にお礼をいい、退場させていただきました。



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