裾花火葬場
以下、渓流ファン様のレポート

戸隠の山懐に抱かれた鬼無里は信濃の山里です。
初秋の景色の中、裾花川の一支流に沿った小道をしばらくたどります。

施設は、林道に沿って西向きに建てられていました。
午後の日射しの中、静かにうずくまっています。
写真右(手前)から、車庫、管理室、待合室、炉前室、炉室、そして煙突、奥の傍らに倉庫です。
……手前の電柱のもとに「マムシ注意」の看板がたてかけられていました。
マムシどころか、途中からスズメバチの姿まで。
玄関ポーチから。
炉数1基の小さな施設です。
入口を入るとそのまま炉前室(告別/収骨兼用)です。
左壁に炉、奥壁には仏画を掲げた祭壇、右壁には待合室への出入口があります。
部屋の中央には「収骨台車まわり」が設けられています。
なお、灯油タンクは暖房用です。
炉前室です。
広さはせいぜい5メートル弱四方ぐらい。(8畳間よりひとまわり大きい程度か。)
手前のドアは炉室への出入口です。
炉の化粧扉の直前に収骨台車まわりの石枠が設けられています。
炉から台車を引き出せば、これにすっぽりとはまります。
(以前、管理人様がご紹介されたM県の施設にも同種のものがありましたね。)
ガラスの汚れがひどく、光線の具合も悪かったのであまり鮮明な写真ではありません。
待合室への入口です。
利用者への注意書きが壁に掲げられています。
公民館や市民ホールの集会室と同じですね。
暖房用灯油は農協系石油スタンドらしいですが、
炉の方はどうなんでしょうか?
今やレアアイテムと化しつつあるコンクリ製「長煙突」です。
高さは8〜9メートルというところでしょうか。
あまりノッポではありません。
しかし、この立派な煙突ですが、今は火葬炉用ではない模様です。
ここから「無常の煙」が立ちのぼることはないのです…。
煙突の基部脇には火葬燃料用の灯油タンクがあります。
また、写真手前右、入口ポーチの柱には小さな施設名の看板が掲げられていました。
煙突の基底部を見て分かりましたが、火葬炉と煙道が直結していませんでした。
…てっきり「長煙突型」だと思っていたのに。
かわりに銀色の炉体のような、鎖鍵のかけられた扉付きの構造物が耐火煉瓦の土台上に設置されていました。
…どうやら、この煙突、施設改修によるお役御免後に「リサイクル」されたらしいのです。
おそらくは胞衣炉か、またはただの焼却炉の煙突として使われているのでしょう。
(座棺用ということはないでしょう。いくら山奥でも。)
これが現在の排気塔です。
炉の直上の屋根に設けられ、目隠しが巡らされています。
煙突に眼を奪われ、最初はまるで気付きませんでした。
……どこか近くに巣でもあるのでしょうか、スズメバチの姿をまた見ました。
新旧の排気装置の対照です。
バリバリの現役の背後に、第二の人生(?)を歩み始めた老兵が日を浴びながらそびえています。
ここは本当に静かな施設です。
改修により新しくなり、日当たりも良く陰惨さはありません。
……ですが、スズメバチもうるさいし、マムシも恐いので、これにて退散することにしました。